「鉄剣タロー、なんだそれ?」
どうも、ノスタルジアチックなkotako25です。
幼少期、車で遠出をしたある日、高速道路のサービスエリアで見たある光景。自動販売機群の中にある「食べ物の自販機」。
見たことのないものに心奪われるkotako25少年。大体は冷食を温めて提供してくれるものだが、それすらも斬新に、新鮮に感じて強く心に残ったそんな少年時代。
そんな時代もあったねと過ごしていたある日。ある単語を偶然発見する。
「オートレストラン」
興味を惹かれた言葉を調べていくと、昔、心がときめいたあの瞬間を強く思い出させる光景が広がっていた。
無人の店内にある無数の自販機。そこには様々な食べ物の自販機が並んでおり、設置されたテーブルで思い思いに食べるというものであった。
こういうものを求めていた。ここに行けば、幼い頃のあの記憶を補完出来るかもしれない。
居ても立っても居られなかった。車に乗り込み、偶然暇だった友人を誘い目的地へ。
行き先は埼玉。行田にあるオートレストラン「鉄剣タロー」だ。
ひたすらに埼玉を北に向かう。
たどり着いた外観は、おそらく便利になった平成では味わえないものであった。そこだけ時間が止まったかのような、体験したことのない昭和の雰囲気が広がっていた。
店内に足を踏み入れる。訪れたのは午前2時。しかし先客がいた。
大学生だろうか。5〜6人で卓を囲む人達や、奥の方で女子会を開いているグループ。静かではあるが、そこには確かに活気があった。繁盛店とは違う、どこか安心感のある活気が。
調べた時に見たそのままの店内はまさに、食のテーマパーク。ここだけを切り取ってタイムスリップしたようなラインナップに心が躍る。
パンを買う。
パンを食う。うまい。
「何がこうだからうまい」「あれがこうだからおいしい」そんな御託を並べてはいけない、そんなうまさだ。
ハムとチーズ、パンにバターが塗ってある。それだけ。家でも作れるものをこの場所でアツアツで食べられることに意味がある。
「懐かしい」。この一言で片付けてしまうのは非常にもったいないのであるが、足を運んだ者にだけ分かるあの感じは、人生の何かを思い出させてくれるそんな場所だろう。
そんな遠い昔に旅をした、夏の夜の出来事。目的地は、そう遠くない。